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舟を漕ぐ

オーロラの舵を手に 息を合わせて内緒の航路を行く密猟者たち
彼らが目指すは遠い遠いあの鉱石の町だ
採掘場の耳障りな音に苛まれた人たちが 優しいおばけになって
巨人の外套をひらりと回すあの町
漕ぎ続ける白昼暗夜問わず その航路の先に彼らが思い描いているのは
決して 一攫千金なんていうただの安っぽい下卑た そんな夢じゃない
ああだったらいいな こうだったらいい と期待して高く積み上がった
それは撫でてやるといい声で鳴くんだよ 未来の記憶

僕は今彼らの舟に乗り 息を合わせて舟を漕ぐ
もう何年も何十年も何百年も彼らとこうやって一緒にいる気がして来ている
すぐ横を音速を超えるモーターボートが
エンジンをブイブイ言わせながら走りすぎて行った
僕らは波紋に足をとられながら ゆっくりと確かに舟を漕ぐ
僕は採るんだ あの町についたらたくさん採るんだ 翡翠や瑪瑙をうんと採るんだ
それを使って うんと大きな うんと大きな ハープシコードを拵えよう
その旧式の楽器は 前近代の音で 今の時間や空間を喜んで鳴らすだろう
僕らの欲望は舟の上でゆっくりと交錯して 舟はゆっくりと音速を超えて行く

千のプラネットが水面下で呼吸をし出して
吐く息がもっとたくさんの色になるのを
僕は脊髄で聞いたよ 脊髄で聞いたよ

1st album 「水平線が音楽になるまで」 収録