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或いは五つ目の物語

いつの間にか いつの間にかこんな遠いところまで来てしまった
「寒いね」と言えば「寒いよ」と返すことばが欲しくて
ただひたすらに歩き続けていたら
いつの間にかこんな遠いところまで来てしまった
足音と口笛に首輪をつけたら遠くへ遠くへと鳴くから
いつの間にかこんな遠いところまで来てしまった
ライターは便利な道具で カシャッと悲鳴を鳴らせば綺羅星が光る
その綺羅星を集めて欄干に 足下は少しだけ軽くなる
遠く山並から移民の賛美歌がきらりと光る
それらが飛び交い降り注ぐ場所に 彼らの声が埋まっている気がする
「寒いね」と言えば「寒いよ」と返すことばが欲しくて
ただひたすらに歩き続けていたら
いつの間にかこんな遠いところまで来てしまっていた

遠くへ 遠くへ 遠くへ 遠くへ

ただ運命論者みたいな冷たい冬の鐘が鳴り響くこんな夜には
「寒いね」と言えば「寒いよ」と返すことばが欲しくて
ただひたすらに歩き続けるこんな夜には
口元がさびしくなりポケットをまさぐる そしたら箱の中は空っぽで
そうだ コンコルド広場まで煙草を買いに行こうと想う
ただ冷たい冬の運命論者みたいな鐘は鳴り響く

ポケットの中の小さな声に気づかない振りをして
真っ白に染まった町を振り返らず 深く深くただフードを被り
何年か振りにぶり返した熱 冷ます冷たい風は海に吹くから
辿り着いたらよろしく 壊れてしまった声に そっと水を注いでおくれよ
この町で確か天使たちは何度も何度も繰り返しバスを降りたはずなんだ
ココア色の足跡がずっと前から僕を呼んでいる気がする そんな物語の中にある
アイロニカルなハーモニカ ルナの方角から降る音色
カラフルな飛行船 浮かぶ荒む雪に息は白く凍り続ける 僕はただ歩き続ける
君の残像が 日々の足跡が 君の残響が 日々の残り香が 君の残煙が
繰り返し繰り返し僕を再生させる それは新しい物語へのプレリュード
いつかの海だ 静かな波 リリルララ追いかけて来る道すがら
見つからないしつかまらない 一体何を探しているかも忘れてしまったよ
遥か遠くからソナタ 僅かな想い授かった彼ら
君の残像が 日々の足跡が 君の残響が 日々の残り香が 君の残煙が
繰り返し繰り返し僕を再生させる それは新しい物語のプレリュードとしてエピグラフ
誰の声も逃したく無いならば何メガヘルツに合わせればいい
汝が為に天使は歌う 誰も彼もがヘッドフォンをするこの町でも
大丈夫 まだ歩けるんだよ

ビー玉 覗けば 世界が 見えたよ かざせば いつかの 僕らが 笑うよ
からまる 指先 かざせば 消えたよ 君のは まぼろし
大丈夫 まだ歩ける

遠くへ 遠くへ 遠くへ 遠くへ

1st album 「水平線が音楽になるまで」 収録